鎌倉彫道友会のシンボルリーフ:四葉のクローバーです。 鎌倉彫道友会  道具道楽
           
『天然砥石の部屋』

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【目次】 Collection 1「丸尾山大上コッパ&敷内曇りコッパ」    Collection 2「純三河白名倉  目白&コマ&色々な名倉砥」

      Collection 3「純真正本山 マルカ正本山」  ――マルカによる仕上げ研ぎの一例&試し切りティッシュカット――

  Memo①拡大鏡で観察しよう  Memo②その他の名倉砥たち(:対馬黒名倉など)  Memo③木村 潔 先生に合砥をお世話いただいた思い出


 『天然砥石の部屋』へ、ようこそ!!

 
ここでは、
 “天然砥石”の種類・銘柄・使い方・お手入れ方法
などについて
 これまでの体験を交えながら、お話ししてみようと思います。

 “砥石沼”にはまってそろそろ10年目・・・。
 “天然砥石シンドローム”からなかなか抜け出せない講師が、
 少しずつ収集した手持ちの砥石をご紹介しながら、
 それぞれの石の個性や魅力、用途について、
 現在の感想を思うままにお話ししたいと思っています。
 (でも、それほど高価な砥石は登場しませんので、
  あまり期待なさらないようにお願いします。)        
        
 天然砥石たちの集合写真です。
(↑)ご紹介する砥石の一部です。中砥・巣板・合砥
(あわせど)など、京都天然砥石をはじめ、
  色々な産地の石があります。コッパ~60型くらいのサイズが多いです

 取りあげる砥石については、産地・採掘層・銘柄・特徴・用途・養生方法などについて、
 分かる範囲で順次ご案内する予定です。
 【注】ただし、天然砥石は“個体差”が激しく、刃物・研ぎ手との“相性”によっても豹変しますので、
    ここでご紹介したのと「同じ産地・採掘層・銘柄・容貌」の石であっても、
    まったく別の性能を発揮する(あるいはまったく発揮しない)場合もあり得ます。
    砥石を選ぶ時は、普段使っている刃物で実際に試し研ぎをして、納得の上で購入して下さい。


 各種刃物を扱われるご専門の研ぎ師さん・職人さんがご覧になる場合、
 それぞれの流儀や扱い方の違いによって、
 首をひねりたくなるような記述もあるかもしれませんが、
 「まぁ、こんなやり方もあるのかな~」くらいに軽く読んでいただいて、
 ご海容くださると、ありがたいです。

 もし、明らかな誤記などがありましたら、ご面倒ですが、メール・FAX・電話等でご教示ください。
 天然砥石について、それほど詳しいわけではないので、
 自分なりに勉強し直すつもりで、少しずつ書き進めて行きたいと思っています。
 どうぞよろしくお願いいたします。

  ※天然砥石は、日本の伝統文化を根底から支えてきた“根っこ”です。
   枝葉を健やかに保つためにも、根っこを大切に守り育みましょう!!




   Collection NO.1   『丸尾山 大上(だいじょう) 梨地 コッパ』
                            
&
                    『丸尾山 敷内曇り
(しきうちぐもり) コッパ』


  『丸尾山』は、京都亀岡にある丹波系本口成り(ほんくちなおり)の砥石山です。
  (詳しくはこちらをクリックしてください!:砥取家さんhttp://www.toishi.jp/maruo.html
  今回は、その丸尾山の「大上 梨地」「敷内曇り」をご紹介します。

  まずは用語のご説明です。

  ※大上(だいじょう)・・・
     本口成り(ほんくちなおり)の砥石山には、上から順に
     ①赤ピン ②天井巣板(てんじょうすいた) ③八枚 ④千枚 ⑤戸前(とまえ) ⑥合さ(あいさ)
     ⑦並砥(なみと)~大上 ⑧敷巣板(しきすいた。※『本巣板 :ほんすいた』とも) ⑨敷白(しきしろ)

       
の9つの採掘層があり、上から7番目の採掘層である「並砥~大上」の層が、
     丸尾山では「大上」と総称されています。

     「並砥」という呼び名には、“特上→上→並”というランク付けの“最下位”みたいなトホホな響きがあるので、
     『品質的には“並”じゃない! “いに等”だ!』という気持ちを込めて、
     この名称が使われるようになったのではないかなぁ・・・と勝手に想像しています。
     とにかく、「並砥」が『並みの砥石』というのは困った誤解で、
     ものによっては、戸前と同等かそれ以上の性能を持つ石も存在しますので、要注意です。

  ※梨地(なしじ)・・・
     砥石に現れる特殊な模様の呼び名で、ご年配の砥石屋さんによれば、
     本来は漆器の梨地模様のような、『細かくてキラキラした金属粉蒔き』を連想させる、
     黄褐色~黄色系の石肌を表現した言葉らしいです。
     (“黄板(きいた)で梨地”などという言い方をします。これは最も上等の特別銘柄になります。)
     しかし、この頃では、
     幸水梨や二十世紀梨の肌のような“まばらなソバカス系の模様”を、
     『梨地』と表現する場合がかなりあり、時代の移り変わりとともに、言葉の意味内容も変わりつつあるようです。
      
通常は、“戸前層”の特別銘柄ですが、今回のように大上の層に現れることもあります。

  ※敷内曇り(しきうちぐもり)・・・
      
『深い砥石層(=敷き)から採掘された“内曇り”』という意味の名称かと思います。
     『内曇り(:地金を仕上げる“地引き”と、刃金を仕上げる“刃引き”の2種類があります)』は、
     刀剣の仕上げ研ぎに用いる砥石で、通常は一番上層の“天井巣板”から採掘されますが、
     丸尾山では、この内曇り系の砥石が、“敷巣板層”の深部・上部からも採掘されました。
     (一般的な“天上巣板の内曇り”については、後日また別の機会にご紹介する予定です。)
     丸尾山の『敷内曇り』は、非常に研磨力が強く、硬度の高い刃金にも素早く実用的な刃を付けてくれます。

  ※コッパ・・・
     砥石の端材で、不定形なものの総称です。
     坐りが良くてサイズが合えば、彫刻刀用として充分に使えます。
     単純に“コッパだから”という理由で、“性能が劣る”ということはありません。
     (たとえば、“サン型”と呼ばれる細長いサイズの石の中には、
      定型の石とは別次元の優れた性能を発揮するものがまじっている場合があります。)
     コッパはお財布にも優しいので、いろいろな石を試してみたい人には、おススメです。
     (ただし、ある程度の選別眼を肥やさないと、物置きにガラクタ石の山を築くことになります。)

  ◆以下、画像を交えてご説明します。

    


  丸尾山の大上と敷内曇りの表面です。 
   


   丸尾山の大上と敷内曇りの裏面です。
 ①:砥石の表面です。
左が「敷内曇り」。白っぽい“ナマズ”が観察できます。
右が「大上梨地」。左肩に強い“梨地”が観察できます。
デジカメの発色が少し青っぽいです。
ほんとうの色は、全体にもう少し黄色いです。
  ②:①を裏返したところです。
    “大上”は裏も面を付けて使っています。    
    ペンで黒く囲んである所は、まだ砥面が凹んでいる部分。
    彫刻刀を研ぐ時に、この部分を避けて研ぎます。
    砥石のこんな使い方を『貧乏研ぎ』と言います。笑
  

 大上のカドです。
 

 敷内曇りのカドです。 
 ③:“大上”のカドの拡大画像。養生のため、カシューが
  塗ってあります。左半分に“”が付いています。
 
 ④:“敷内曇り”のカドです。
   こちらのカシューは塗りが薄めです。
   やはりが観察できます。
 
    

 大上の乾いた石肌です。
  

  大上の濡れた石肌です。 
 ⑤:乾いた“大上”の石肌の拡大写真です。
   この画像は、実際の色に近いと思います。
   いちおう梨地系ですが、“そばかす”も混じっています。
   この黄色の原料は“黄砂“だという説があります。
 ⑥:⑤を濡らした画像です。
   濡らしたとたんに黄色みが強くなって、
   蓮華っぽい赤い斑点が浮き出しました。
   う~む、なんだか生き物みたいです~!



   大上の研ぎ汁です。



  大上の研磨条痕です。
 ⑦:“大上”の研ぎ汁です。 中砥は『刃の黒幕#2000』。
  刃物は「青紙2号+極軟鉄地金」の切り出し(三木産)。
  多めの水で、軽く8×8=64往復、30秒くらい研ぎました。
  1ストロークは約5cmくらいです。
  黒色+灰色系の研ぎ汁がきれいに集まってます。
  刃金も地金もよく下ろしている感じです。
⑧:“大上”による研磨条痕です。
  上の濃い色が刃金。下が地金。
  2分間くらい研いで、実用レベルの刃を付けた画像です。
  だいたい25倍拡大の画像になりますが、
  デジカメのピントと解像力がイマイチです。。。
  もう少し撮影技術を磨かねば~・・・汗
 

 敷内曇りの乾いた石肌です。
   

  敷内曇りの濡れた石肌です。
 ⑨:乾いた“敷内曇り”の石肌の拡大写真です。
  左に茶色いヒビがありますが、良く“枯れている”ので、
  研ぎには“無難”です。中央の赤いヒビっぽいものも、
  白い“ナマズ”を同伴してるので“無難”です。
  ※枯れている:もろくて砕けやすいこと。(→刃物にキズが入りにくい。)
   ※無難(ぶなん):刃物を研ぐ上で、支障が無いこと。
   ⑩:⑨を濡らした画像です。
   右下の方に赤っぽい“蓮華”の模様が浮き出しました。
   きれいです~♪





  

 敷内曇りの研ぎ汁です。
  


  敷内曇りの研磨条痕です。
 ⑪:“敷内曇り”の研ぎ汁です。条件は⑦と同じですが、
   素晴らしく灰色です。 鉄粉の粒度も大き目で、
   切り刃面全体を問答無用でザクザク研削した
   “力強さ”が漂っています。 刃金を手早く下ろす
   パワーがあり、刃先の“返り”もすぐに出ました。


   刃の黒幕#2000の研磨条痕です。
 ⑬:参考のため、刃の黒幕#2000の研磨条痕の画像を
   貼付します。上部3分の1が刃金です。
 ⑫:“敷内曇り”の研磨条痕 (約25倍拡大)です。
  1分間ちょっと研いで、実用レベルの刃を付けました。
  15倍拡大鏡で目視すると、大上の時よりも、刃金にやや深い
  条痕が残っているのが観察できます。(写りもやや白っぽいです。)
  これは中砥#2000の条痕の残骸ではなく、“敷内曇り”が
  自前でつけたものだと思われます。
  大上と比べてややきめが粗く、そのぶん刃金に対する
  研削力が強い印象があります。
  敷内曇りは、実際には比重0.5前後の
  “中硬度の木材(:ヒノキ・桂・朴・銀杏・楠など)”の
  繊維を断ち切るうえで、“鋭利“で“永切れ”のする素晴らしい
  刃を付けてくれます。“仕上げ彫り”には向きませんが、
  “中彫り”までは、すごく使える石です。

  HRC(:ロックウェル硬度)のポイントの高い刃物を、実用的に手
  早く下ろしてくれるのが嬉しいです。







                           このページの先頭へ




【砥石ワンポイントメモ ①拡大鏡で観察しよう】

 砥石の性能や、砥石と刃物の相性を確かめたい時は、
 10倍~15倍の拡大鏡で“刃付き(:“刃付け”とも)を観察すると良いです。
 専門家は150倍くらいの顕微鏡で観察するようですが、
 鎌倉彫などの木彫用の刃物の刃の具合を確認するのであれば、10~15倍くらいで充分だと思います。
 講師は、某大型手芸品店で400円で買ったちゃちな15倍マイクロスコープを愛用中ですが、
 かなり調子良いです~♪
 30倍くらいになると、倒立像になって“目まい”がする場合があるそうですから、要注意です。
 15倍で見ると、「ふむふむ・・・なるほど・・・」ということがいっぱいありますよ!

 それでは今回はこの辺で。
 次回は、『純三河白名倉』の目白とコマをご紹介する予定です。
                                   2012.4.29記

 追記:研磨条痕の画像を撮り直し、刃の黒幕#2000の研磨条痕の画像を追加しました。
    あまり変わりばえがしませんが、今の腕とメカではこの辺が限界みたいです。。。
                                     m(_ _)m4.30追記
 15倍のマイクロスコープ
(↑)いつも使っている15倍マイクロスコープ。
 アクリルレンズで、作りもチープ。
 ですが、照明の当たり方を調節すると、
 かなりよく見えるスグレモノです!


 青紙2号を大上で研いだ刃先。220倍率リサイズ。
(↑)丸尾山大上×青紙2号B 刃先の画像
 ◆USB顕微鏡の画像を追加します。(220倍率の画像をリサイズ・トリミングしたものです。)

 ・名倉・共名倉などは使わず、
  砥面修正して水洗いした直後の“素の砥面”で研磨しました。
 ・黒幕2000での中研ぎ後に、切り刃の角度や力加減・水加減を統一し、
  “実用レベルの刃”が付くまで研ぎ込んで“刃先の部分”を撮影しました。
 ・研磨条痕と、刃先の鋸状凹凸が確認しやすいように、“斜め研ぎ”はしないで、
  刃渡り線に対して直角方向に運刃して研いであります。

 ちょっとした研ぎの力加減や、ピントの深度差、撮影時のハーフトーン照明の当たり具合で、
 画像の印象が大きく変化しますので、
 この画像だけで、砥石の性能を判断するのは難しいところがあると思います。
 あくまでも“参考”程度にご覧ください。

 
しかし、画像を見ると、
 『大上の方が刃付きが細かくて、仕上げ彫りに向いていること』や、
 『敷内曇りが付けた“鋸状の刃先の凹凸
が、
  中彫り時の“永切れ”に貢献しているらしいこと』

 がよく分かり、つくづく「顕微鏡はすごいな~」と感心します。。。
    使用したUSB顕微鏡は“タモリ倶楽部”で紹介されたもので、
        AMAZON・ヤフー・楽天で7~8千円台で売っています。
        これ、面白いですよ~!)
  青紙2号を敷内曇りで研いだ刃先。220倍率リサイズ。
(↑)丸尾山敷内曇り×青紙2号B 刃先の画像

                                                         2012.6.8再追記

                            このページの先頭へ





Collection NO.2   純三河白名倉
        『目白
(めじろ)』 & 『コマ』 &いろいろな名倉砥

◆『純三河白名倉』の等級、特徴、採掘層、使い方、歴史、画像資料、などについては、
大工道具の曼陀羅屋さん“純三河白名倉のページ”の末尾の当該項目をクリックしてご参照ください。
(詳しい情報がたくさん紹介されていて、とても勉強になります。)

◆また、お手持ちの『純三河白名倉』の“真贋鑑定”に関しては、
(株)トヨハシ理器さんの“研ぎ職人の部屋”をご覧ください。

以下、講師の手持ちの“ミカワジロ(:三河白名倉の通称)”の「目白」と「コマ」を、
画像をまじえてご案内します。

   目白特級上&コマ特級上(表)     目白特級上&コマ特級上(裏)
 ◆目白特級上(左)とコマ特級上(右)です。
純三河名白倉の「特級」には“縞模様”が入っていますが、
画像の目白の縞はやや淡いです。
サイズは、右のコマが17×4.5×4.5cm、約500gです。
サイズは、左の目白が18×10.5×3.5cm、約1130gです。



◆同じく裏面です。
目白は表面裏面ともに似たような石質ですが、
コマは表がかなり硬く、裏の方がすこし柔らかいです。
目白は幅10cm以上あるので、
大型の刃物を研ぐとき重宝してます。
この目白特級上は“曼陀羅屋”さんで購入しました。


   目白特級上の刻印    コマ特級上の刻印
 ◆検印と種別・等級の刻印です。
現在はトヨハシ理器の坂本守男さんと息子さんの耕紹さんが
種別・等級を鑑定して刻印しておられます。
この刻印のある「ミカワジロ」は、“ハズレ”が無いと思います。
側面は、割れ止めと刻印の保護をかねて、
カシューで養生してあります。


 ◆この「コマ」は、東京・恵比寿の「今西砥石商会」さんの大昔の在庫を分けてもらって、後日“トヨハシ理器”さんに種別と等級を鑑定してもらいました。本来は鑑定結果の通知だけで、刻印はしないことになっているそうですが、このコマは「間違いなく純三河のコマ特級上である」とのことで、特例で刻印して下さいました。



    目白特級上の石肌(乾燥時)    コマ特級上の石肌(乾燥時)
 ◆目白特級の石肌の拡大画像(:乾燥時)です。
白色系凝灰岩の滑らかな石肌に、褐色の淡い縞模様と、
微細で不定形な赤い斑点がまばらに観察できます。
画像を横切る“毛筋”は、研ぐのに支障ありません。
が、毛筋から割れることがあるので、そんな時は卵白で固めると
研ぎの邪魔にならないそうです。(←曼陀羅屋さんから教わりました!)
「目白」の採掘層は砥石山の最上層に位置し、
「コマ」とほぼ同等のキメ細かさをもつと言われます。


 ◆コマ特級の石肌の拡大画像(:乾燥時)です。
このコマ特級は縞模様の褐色が濃く、赤色の斑点は丸味があって形状が揃っています。
丸尾山の分析室のデータによると、丸尾山の“蓮華巣板” の赤い斑点の主成分は“石英・カーボン・アルミ”とのことですが、ミカワジロの赤斑も似たようなものなのでしょうか。。。
コマの採掘層は、12の層の上から5番目に位置し、京都天然砥石の“戸前”(:同じく5番目)をちょっと連想させます。


   目白特級上の石肌(水濡れ時)    コマ特級上の石肌(水濡れ時)
 ◆水に濡らした目白特級の石肌です。
乾燥時と比べると、明るいオレンジ色の発色が目立ち、
なかなかきれいな石肌です。
(画像がいまいちで、発色の変化が分かりにくく、すみません。)


 ◆同じく、水に濡らしたコマ特級の石肌です。
色具合が冴えて、よく砥がす感じがします。
天然砥石は、砥面の模様のバラエティが豊富で、
ほんとに見飽きることがありません~♪


 目白特級上の研ぎ汁  コマ特級上の研ぎ汁
 ◆目白特級の研ぎ汁です。
研磨の条件は丸尾山の時と同じで、中砥は『刃の黒幕#2000』。
刃物は「青紙2号+極軟鉄地金」の切り出し(三木産)。
多めの水で、軽く8×8=64往復、30秒くらい研ぎました。
1ストロークは約5cmくらいです。
石質が緻密で細かいので、ザクザクと下ろす感じでは
ありませんが、刃金も地金もかなりよく下ろしています。
もともと刀剣研磨に使える石で、塗師包丁などの大型刃物に実用的な刃を手早く付けてくれるのが、ありがたいです。



 ◆コマ特級の研ぎ汁です。
研磨の条件は、目白特級と同じにしたつもりですが、石質が硬く、砥粒が細かいせいか、あまりたくさん研ぎ汁が出ません。
しかし、そのわりに刃当たりはマイルドで、
青紙スーパー鋼のような硬くて粘りのある金属組織を
無難にきめ細かく研ぎ上げてくれます。
日本刀研ぎの終盤工程に使われる天然砥石でもあり、
「さすがだなぁ」と思います。




   目白特級上による研磨条痕
   (↑)目白特級上×青紙2号B 刃先の画像
   コマ特級上による研磨条痕
   (↑)コマ特級上×青紙2号B 刃先の画像
 ◆目白特級上による研磨条痕の拡大画像です。
(約220倍。リサイズ・トリミング済み。コマの条痕の画像も同じ倍率です。)
刃先がややノコギリ状で、永切れしそうです。
黒幕2000から乗り換えて、実用的な刃がつくまでの時間は、
刃表だけだと3分くらいかと思います。
大平・新田の白系の巣板 とあまり変わらない仕上がりで、
刃付きはまずまず細く、一般的な木彫の仕上げ彫り用として
充分に使える感じです。 
※撮影条件により画像の印象が大きく変わるので、
 “参考”程度にご覧ください。





 ◆コマ特級上による研磨条痕の拡大画像です。
刃先の凹凸のきめが細かく、直線的で粒が揃っていて、一目で“最終仕上げ彫り”に使える仕上がりだと分かります。
京都天然砥石の本山(ほんやま)の合砥(あわせど)と比べても、ほとんど遜色のない仕上がりではないでしょうか。
ただし、黒幕2000からいきなり乗り換えるのは無理があり、ここまで研ぎ込むのに5分以上かかってしまいました。
体験的には、「黒幕2000→キング4000」と乗り換えて、そのあとコマ特級で研ぐのが良いのではないかと思います。
「コマ特級上」で研いだ刃は、切れ味が明快で永切れする傾向が強いように思います。
※撮影条件により画像の印象が大きく変わるので、“参考”程度にご覧ください。
 


                     このページの先頭へ



◆純三河白名倉の色々な名倉砥

今回は、仕上げ研ぎ用の合砥(:あわせど)として、縞模様の入った大きめの「目白」と「コマ」をご紹介しましたが、
“純三河白名倉”というと、合砥の“目立て”“潤滑剤”として用いる小型の“名倉砥(なぐらど)”のイメージほうが、
よりポピュラーであるかもしれません。

以下にそのような小型の純三河白名倉を、いくつかご紹介したいと思います。
(※名倉の刻印のある面には退色防止をかねてカシューを薄く塗ってあります。)
純三河白名倉ラインナップ
目白別上    ②天上特級(表) ③コマ別上  ④ボタン特級  ⑤八重ボタン
  同(砥面)    天上別上(砥面)   同(砥面)   同(砥面)    同(砥面)

①目白別上・・・“目白”は12層ある採掘層の最上層の名称で、
         “別上”
というのは、白物で不定形なタイプのものです。(角物(かどもの)“別大上”と呼ばれます。)
         “目白”は、“コマ”に匹敵する砥粒の細かさで、初めて使う名倉砥として“最適”といわれます。
         画像(砥面)のグレーの“墨流し系”の目白は、“純白系”の目白に比べるとやや粒度が粗いですが、
         そのぶん硬度が高く研磨力も強いように感じます。

②天上特級&別上・・・“天上(てんじょう)は12層ある採掘層の2番目と3番目の層の名称です。
         “特級”というのは、縞物で不定形なタイプのもの。(角物(かどもの)“特級上”と呼ばれます。)
         天上は、たまに砂をかむ場合があるらしいですが、講師にはまだそういう経験はありません。
         (あちこちに“気泡”っぽい小孔は観察できますが。。。)
         縞物である“特級”はそれなりに硬いですが、画像(砥面)みたいな白物系の“天上別上”は柔らかく、
         研ぎ汁を手早くたくさん出す
ことができます。
         この石は砥面の面積が広いので、金切り鋸で溝を掘って、合砥に吸いつき難いようにしてあります。(溝は釘でも掘れます。)
            また、名倉が合砥に吸いついたときは、そのままバケツに浸すなどして水に馴染ませると、自然にはがれます。


③コマ別上・・・“コマ”は12層ある採掘層の5番目の層の名称です。(4番目の層は“ぶちこう”とよばれる非採掘層です。)
         この“コマ別上”の砥面の画像を見ると、グレーの細かい斑点が観察できますが、
         これが白物系のコマの特徴の一つであるようです。
         “コマ”は、純三河白名倉の中で、砥粒のキメがもっとも細やかな層です。

④ボタン特級・・・“ボタン”は12層ある採掘層の6番目の層の名称です。
          7層目の“八重(やえ)ボタン”と並んで、最も研磨力が優れますが、
          目白・天上・コマに比べると粒度は粗いと言われます。
          粗い“砂の層”が必ず1本入るため、層に触らぬように“板目の砥面(とづら)を使うようにします。
          画像の石は全体に褐色系で、目立った縞模様は見られませんが、“特級”と刻印されています。
          研磨力は手持ちの名倉の中では、八重ボタンと並んで“最大級”で、
          研ぎ込んで砥面がツルツルになった合砥の“目立て用”として重宝しています。

⑤八重ボタン・・・“八重ボタン”は第7番目の層の名称です。
          この“八重ボタン”は白物系ですが、縞物系の“特級”もあるようです。
          砥面の画像を見ると、“コマ別上”と似通ったグレーの斑点がありますが、
          手持ちコマと見比べると八重ボタンの方が、3~4倍くらい斑点のサイズが粗く大きいです。
          画像の石は名倉としてはかなり大きいものですが、砥粒が粗いせいか、
          たっぷり水を含ませて使うと、吸いつくことはほとんどありません。
          ミカワジロに限らず、天然砥石は水をきちんと含ませて使うことが大切であると思います。


この他にも、さらに粗くて硬い“あつ(9番目の層)”“ばん(10番目の層)と呼ばれる層(:中名倉として用いる層)が2つありますが、
彫刻刀用としてはあまり馴染みがない層だと思うので、それらのご紹介はまた別の機会に譲りたいと思います。


                         このページの先頭へ




【砥石ワンポイントメモ ②その他の名倉砥たち】

対馬黒名倉&丹波系黒名倉刻印の無いミカワジロ
①対馬黒名倉の   ②対馬黒名倉の    ③対馬黒名倉の砥面 ④丹波の黒名倉? ⑤浅野検印が無い“ミカワジロ”
養生済みの側面    砥面に入ったヒビ割れ                         約5cm四方で2センチ厚の大きさ。


対馬黒名倉産(40入り型)布着せ養生済み  対馬黒名倉による研磨条痕
⑥対馬黒名倉(サン型40入り)  ⑦対馬黒名倉×青紙2号B 刃先の画像
側面は麻布を着せて養生済み。  ※撮影条件により画像の印象が大きく変わるので、
                     “参考”程度にご覧ください。



画像①~③は、長崎県対馬(つしま)の海産の黒名倉(くろなぐら)の画像です。
※「対馬黒名倉」には、海産山産がありますが、現在の市場品はほとんどが海産のようです。
 手持ちの山産の対馬黒名倉は、側面に堆積層の淡い縞模様が観察でき、海産に比べるといくらか砥粒が細かくて、硬いです。
 山産の対馬黒名倉も、いずれこのHPでご紹介するつもりです。】

◆対馬黒名倉は堆積層に沿って“ヒビ割れ”が生じやすいので(画像②)、タコ糸を巻いて養生して(画像①)、
“柾目の砥面”を使うようにします。

画像①では、砥石の角に金切り鋸で浅い溝を掘り、その溝にタコ糸の結び玉を引っかけ、
そのあと側面をぐるぐる巻きにして、最後に黒漆で塗り固めて養生しています。
(使い込んで名倉が減ってきたら、糸を一段づつほどいて行きます。)

もっとも、ヒビ割れして適度に薄くなった黒名倉の“板目の砥面”を愛用する職人さんもいるので、
すべての黒名倉を必ず養生しなければならないというわけではないと思います。

◆対馬黒名倉を“人造の仕上げ砥石”に使う場合もあると思いますが、
相性が合わないと不具合が生じる場合があり、要注意です。
(例えば、アルカリ性の研ぎ汁が出る海産の対馬黒名倉を、“エビ純白8000番”に使い続けると、
かなり高い確率で、エビ純白の砥面に亀甲型のクラック
(:ひび割れ)が発生します。)

試行錯誤しないと結論を出せないケースも多いと思いますが、高価な人造砥に天然名倉を使う時は、
慎重を期するほうが良いと思います。
対馬黒名倉と人造砥石との相性は、“人造砥の変質防止”という点だけに絞って考えると、
総合的に“イマイチ”のように感じます。。。研ぎ汁がアルカリ性だからでしょうか。。。?

◆また、合砥の“筋・割れ”“針気(はりけ)”が刃物にどの程度のダメージを与えるかについては、
合砥を摺った黒名倉の砥面を観察することによって、ある程度まで判断できます。
画像③は針気(:砥粒が鋭く硬く尖りすぎていること。刃物がキズ付く危険性があります。)のある合砥を、
“対馬黒名倉”で水擦りしたあとの画像ですが、乾いた黒名倉の砥面に“白い細い筋”が観察できます。
このての引きキズを黒名倉にたくさん残す合砥は、彫刻刀を研ぐのには向いていません。
試し研ぎをするまでも無く、購入を見合わせた方が賢明だろうと思います。

画像④は、
“丹波(:たんば。京都天然砥石の産地。西方の山系)の合砥”と呼ばれる黒っぽい砥石を名倉サイズに整形して、
黒名倉として使い込んだもの――と思われます。
某砥石山のオーナーさんの形見の御品で、その奥様からご好意で譲り受けたました。
そのオーナーさんは鎌倉彫の熱心な愛好家でもあり、
ご愛用の本山(ほんやま)系の極上の合砥を、この“丹波の黒名倉”とおぼしき石で擦って使ってみえました。

よく見ると、砥面にゴマ斑(ふ)状の濃い斑点が散らばっており、
対馬黒名倉のチャコールグレー系の無表情な砥面とは、明らかに趣きを異にしています。
(画像では分かりにくいですが、手持ちの砥石と見比べると、馬路山の石の砥面にかなり似ています。)
使い勝手はたいへん良く、個人的には対馬黒名倉よりも手早く永切れする刃がつく印象があります。
「本山系合砥×丹波系の黒名倉」は、砥石を知り尽くした山主さんが選んだ“極上の組み合わせ”で、
これを初めて使ったときは、“なるほどなぁ”と感心することしきりでした。

“合砥(あわせど)という呼び名の語源については――、
「刃物・研ぎ手の個性に砥石を合せる」「砥面と切り刃の面を合せる」「研ぎ手が砥石に調子を合わせる」
――などの諸説があるようですが、
「仕上げ砥と名倉砥の相性を見極めて、用途に合わせていろいろに組み合わせる」
――
という意味合いも含まれているように感じます。

「丹波の黒名倉」は、そのような実感をもつ良いきっかけになりました。

それ以来、講師は、『高島敷巣板×丹波系黒名倉』『中山戸前×新田巣無し巣板 』
『大突(おおづく)アサギ×大平白巣板』『奥殿(おくど)巣板×丸尾山敷戸前 』
などの『合砥×名倉砥』の組み合わせを試しつつ、研ぎ味や研ぎ上がりの違いを楽しんでいます。

画像⑤は“純三河白名倉”の刻印が無い、素性のはっきりしない“ミカワジロ”です。
この石は砥粒が粗く、仕上げ研ぎには向かないと思いますが、
“あつ”“ばん”“沼田砥”“伊予砥”“青砥”等の天然中砥と組み合わせると、
微妙な“番手調整”や思いがけない“研ぎ味”を楽しめます。
いわゆる生粋の“純三河白名倉”ではありませんが、
この石にはこの石なりの“存在価値”があるように感じます。

画像⑥⑦は、“対馬黒名倉”の「サン型40入りサイズ(21×4.5×4.5cm)」の布着せ養生済みの画像と、
その研磨条痕の拡大画像(約220倍率)です。
画像の石は30年位前に今西砥石商会さんで購入したもので、
“割れ止め”のために麻布を着せて黒中漆で塗り固めてありますが、カシューを塗ってもOKです。
対馬黒名倉による研磨条痕は、純三河白名倉のコマや目白に比べると、かなり粗い感じがします。
「対馬黒名倉は、布や紙の繊維を裁ち切る刃を付けるのに調子が良く、永切れする傾向がある」
と教えてくれた研ぎ職人さんがおられましたが、研いでみると本当にその通りだと実感します。



●――以上で今回の『純三河白名倉&その他の名倉砥』終わりますが、
“ミカワジロ”は、日本刀のような大型の刃物を効率よくきちっと研ぎ上げるという点で、
つくづく、「すごい石だな~」、と思います。

“三河”といえば徳川家康のホームグラウンドで、信長・秀吉を輩出した“尾張”とも隣接するエリアですが、
こんな良砥を産出するお山が身近にあったという“地の利”は、
往時の武将たちにとって、たいへん心強い“武運の支え”だったことでしょう。
(戦国時代の実戦では、「刀」よりも「矢・槍・鉄砲」が重んじられたようですが、
 そうした武器もつまるところ“鍛冶仕事の産物”ですから、効率の良い“良砥”の需要は非常に高かっただろうと思います。)


「戦国武将と砥石山」・・・「戦国武将と刀鍛冶・鉄砲鍛冶」・・・いにしえの歴史ロマンをかきたてる“ミカワジロ”を
ご覧の皆さんもぜひ一度お試しくださいませ!

 *次回は「マルカ 純真正本山」(中山の合砥)をご紹介する予定です。

                                    (2013年5月18日記)

                        このページの先頭へ





Collection NO.3   純真正本山ーマルカ正本山ー中山の合砥(あわせど)

◆ 『純真正本山(じゅんしんしょうほんやま)』『正本山』の刻印がある天然砥石については、
  PRO SHOP HOKUTOさんのHPをご覧ください。
   ※合砥のページの『純真正本山の印影』をクリックすると、マルカの詳しい歴史や砥石の薀蓄などが閲覧できます。
    また、H26.8.30現在販売中の、希少な“マルカ戸前梨地”の画像なども観賞できて、とても参考になります。


◆『純真正本山・マルカ正本山』の天然砥石を産出する『中山礦山(なかやまこうざん)』は、
  梅が畑でも代表的な砥石山です。


   ※梅が畑・・・京都市右京区内に所在する地域名で、このエリアには、
           中山、木津山、鳴滝向田(なるたきむかいだ)、菖蒲(しょうぶ)、大突(おおづく)、奥殿(おくど)、等々の
        標準的な本口成り(ほんくちなおり)のお山が群居しています。
        そのなかでも中山は――、
          『硬い(=面ダレしにくい)・細かい(=刃付きが鋭利)・手早い(=良くおろす)』
        ――という三拍子そろった良砥を安定供給し続けた潤沢な礦山で、
        伝統的産業として「約
800年の歴史を持つ」と言われます。←この由緒正しさは鎌倉彫とほぼ同じです!笑



◆まずは、『純真正本山』の印影を観賞してみましょう。

 純真正本山の印影1
 ハタホシの印影
 純真正本山の印影2   純真正本山の印影3
 (↑)おなじみの商標です。
 30型の砥面(とづら)上方にありました。
 茄子紺色のインクを使用してます。
 「屯」の字の上の“ツノ”の部分が
 短いです。
 印相上の配慮でしょうか・・・。

 (↑)左と同じ砥面下方に刻印して
 あった「ハタホシ」の商標です。




(↑)何故かこのタイプは
 「眞」の字の左横の
 “ツノ”の部分も出て
 いません・・・
 すみません。
どうでも
 良い事ですね。笑

(↑)レザー型などに
 よく刻印されている
 印影。




◆『純真正本山』の商標には次のようなタイプもあります。

 純真正本山の印影4
(←)
 小さなコッパ類に
 多い刻印。
 枠サイズは1.5×1㎝位。
 かわいいです。

  純真正本山の印影5




(←)
 大きめのコッパや
 原石類に多い印影
 です。
 縦枠の最長は
 約6.5センチで、
 手持ちの石では
 黒いインクが使用
 されています。

加藤礦山の印影

 ※明治~昭和年代に、“中山”を所有して
  経営した加藤氏3代の資料については

  『京都天然砥石の魅力 改訂3版』の
  
51pと64pをご参照ください。
(←)かなり昔の「加藤礦山」の印影。
   ヤフオクで見つけたものです。
   漢字が左向きに書かている
   ので、戦前のものかも・・・。

   『加藤礦山産出之??』
   と読めるようです。
   
の来歴を物語る刻印。

『純真正本山』『HATAHOSHI』の
  印が砥面に押してあっても、
  コグチに『㋕正本山』の印が押され
  いてなければ、“マルカではない”
  (=いわゆる加藤礦山から採掘
  された砥石ではない)という場合も
  あるそうで、ちょっと注意が必要です。
  また、加藤礦山産出の石であっても、
  「畑中砥石」以外の別業者を介して
  販売された砥石には、㋕印は押され
  ないそうです・・・少し“複雑”ですね。

                                                                       【追記】 「丸市商会」を介して販売された加藤礦山産出の砥石の中には、
                                                                            「㋕正本山」の印が押されたものが相当数あるそうです。
                                                                            「畑中砥石」以外の別業者ルートでも、㋕印が押されたケースが
                                                                            あったことを訂正して追記します。
                                                                            ご教示誠にありがとうございました。  (H27.2.26)



◆次は『マルカ正本山』の印影です――、

   マルカ正本山の印影1    マルカ正本山の印影2    マルカ正本山の印影3    マルカ正本山の印影4    マルカ正本山の印影5
(↑)こちらもおなじみの㋕印。
枠サイズは約4.5×1.4㎝です。

7年ほど前、印影の濃いコッパ
を購入してすぐにカシュー養生
したので、茄子紺色の印影が
くっきりと残っています。

※マルカの印影は養生せずに
放置すると、徐々に薄くなって
行きます
が、カシューやニス
などで外気を遮断してやると、
かなり長持ちします。

印影は紫外線に弱い傾向も
あるように感じます。



(↑)こちらは60型コグチの印影。
購入後すぐにカシューを塗りまし
たが、約7年の間に文字が少し
薄くなってきました。

使ったカシューは“透”か
“クリヤー”だったと思います。
左のくっきり残っている方は、
“ネオクリヤー”を薄塗りした
もの
です。

左の画像と比べると微妙に
字体が違いますが、どちらも
PRO SHOP HOKUTOさん
で買った石なので“本物”です。




(↑)こちらは勝秀刃物さんで
買った40型のコグチの印影。

10年くらい前に、カシューの
“透”か”クリヤー”を厚塗りしま
したが、印影がぼけてきました。
“ネオクリヤー”を薄塗りすれば
よかったかも・・・。

字体はHOKUTOさんの60型
のものと一致しています。








(↑)こちらは中古で購入した40型
の印影。よ~く見ると、〇と山の
文字だけどうにか読み取れます。

もともと薄い印影でしたが、
カシューの“透”or“クリヤー”で
とどめを刺してしま いました。

窓の中央を縦に走る薄い亀裂は、
層割れの危機に見舞われた痕跡。
この砥石は長い間、側面養生され
ずに使われていた模様です。

㋕は永く使い継がれる可能性
があるので、側面養生はしておき
たいものです。
(。。。養生前に写真を撮っておく
    と良いかもしれません。。。)

(↑)こちらはやや大型のコッパの
裏面に押してあった刻印。

枠サイズは4×1.5センチほどで、
これまでとは少し違う大きさです。
刻印も二度押しされていて、
ニセモノ?と疑いたくなりますが、
間違いのない販売ルートで購入
した、性能的にも優秀な石でした。

マルカ印は偽造されるケースも
あると聞きます。
信頼できる業者さんから購入する
事が大切だと思います。





以下、手持ちのマルカのご紹介です。

1.マルカ梨地系60型・・・程良い硬さの超仕上げタイプ。採掘層は不明。

マルカ梨地系60型砥面
マルカ梨地系60型裏面

マルカ梨地系60型砥面拡大

 マルカ梨地系60型濡れた砥面拡大

 マルカ梨地系60型研ぎ汁
(↑)砥面の画像。画像の
発色がやや濃いめです。

側面は
綺麗な積層でしたが
念のため麻布を着せて
漆で養生してあります。

7年くらい前に、
HOKUTOさんで5時間
くらい試し研ぎをして、
買いました。
5時間の試し研ぎは
傍迷惑な蛮行で、
申し訳ない事をしたと
反省しています。


(↑)裏面の画像。

裏は、層からの剥離面が
荒磨りしてあったので、
試みにアトマで砥面を
付けてみました。
表よりも少し軟質な梨地で
いろいろ重宝しています。

・・・両面使いを嫌う人も
いますが・・・
やってみると、
何かと便利です。




(↑)乾燥時の砥面の拡大画像。

発色が実物よりも白っぽいです。
実物は“肌色”に近い色合いです。

ニキビ系の梨肌ですが、
『硬い、細かい、手早い』
という中山の三大特長を兼備して
おり、財布をはたいた甲斐があり
ました。








 (↑)濡らすとパッと黄色になります。

贔屓目に「地卵色の黄板」と言いたく
なりますが、砥石の色判定は乾燥時
に行なうのが原則
と言われますから
この石を“黄板”と呼ぶと
贔屓の引き倒しになりそうです。

HOKUTOさんの商品表示も、
「黄板」ではなく、「色物」でした。

でも、
自分好みの綺麗な色合いです。





(↑)黒幕2000の後、5㎝位のストロークで
8×8=64回、30秒ほど研いだ研ぎ汁です。
刃物もいつもと同じの
「青紙2号Bの切り出し」です。

刃金も地金も良くおろしている印象で、
“とろける”ように刃が付いて行きます。

ただし、「手早くおろす」と言っても、
粒度の繊細さと研削力は反比例するので
  黒幕2000→大平巣板→㋕合砥
のように“中継ぎ”を入れて、
適切に乗り換えて研ぐのが賢明です。

中継ぎを入れずに黒幕2000からいきなり
研ぎ上げると、“実用的な刃”が付くのに
講師の場合、5分ほど時間がかかります。

以下は、『マルカ梨地60型×青紙2号B』(220倍率)のUSB顕微鏡画像です。

 マルカ梨地系60型の刃先の研磨条痕1  マルカ梨地系60型の刃先の研磨条痕2  マルカ梨地系60型の刃先の研磨条痕3 
 (↑)マルカ梨地60型×青紙2号B。
黒幕2000から直接乗り換えて、拡大鏡で刃付きを
時々チエックしながら5分ほど研いで撮影。

目立て用のドレッサーとして対馬黒名倉をかけましたが
名倉汁は洗い流して、素の砥面で研いでみました。

マルカの刃付きとしてはまだ粗いですが、
仕上げ彫り用の刃として実用できるレベルです。



左の①の状態からさらに2~3分研いだ画像。

今度はマルカ梨地コッパ(:真下の画像のもの↓)
を“共名倉(ともなぐら)”に使って研ぎました。

刃先がちょっと鋭利になってきた感じがします。


※共名倉
  ・・・砥石本体と同じ(or似通った)石質の名倉砥。
    粒度の等しい砥粒が擦れ合って微細化する
    ため繊細な刃を付けやすくなると言われます。
②からさらに2~3分くらい、同じ共名倉を使って、
名倉汁を巻き込みながら研いでみました。

刃物の地金の艶はちょっと曇りましたが、
刃先の凹凸はさらに鋭利になったのが確認できます。

あと数分研ぎ込めば、刃先の白い“返り・研ぎ残し”も
完全消滅して、理想的な“艶切れ”が味わえそうです。

ここまでで10分ほどですが、
黒幕2000の後で、すぐにマルカ名倉を使って研いでい
れば、7分位でこの状態に持って行けたと思います。


 青紙2号を大上で研いだ刃先。220倍率リサイズ。
    (↑)丸尾山 大上 梨地

 純三河白名倉コマ特級の研磨条痕
    (↑)純三河白名倉 コマ 特級 
 


  マルカ梨地コッパ
  マルカ純真正本山の箱
  (↑)前々回の丸尾山大上梨地と
 前回の純三河白名倉コマ特級の刃先の条痕の画像です。
 ピントや照明の加減で画質のニュアンスは異なりますが、
 現物の刃付きは上掲①のマルカ梨地と伯仲しています。
 ということは・・・丸尾山大上・純三河コマ特級も、工夫して
 さらに適切に研ぎ込めば、もっと鋭利な刃を付けられる、
 ということでしょうか・・・?
 ・・・答えはおそらく、「YES」だろうと思います。


  (↑)今回、共名倉として使ったマルカ梨地コッパです。
 7㎝四方くらいの大きさで、名倉としては大きすぎますが、
 60型梨地とは兄弟みたいに石質が似ていて、
 他のマルカ達の名倉としても利用することが多いです。

 硬度は60型よりやや軟質で、研ぎ汁に粘りがあり、
 60型の裏面の石質に酷似しています。
 HOKUTOさんの石で、価格は8千円台だったと思います。

 丸刀研ぎ用の溝を掘ると、名倉としても使い易くなります。
 
(↑)この砥石が入っていた箱。
お店で「箱、要りますか?」
と聞かれて、
「要ります!要ります!」
と即答して貰って来ました。
砥石オタク全開の一品。笑





2.マルカ褐色系40型・・・名倉で豹変する超硬タイプ。 採掘層は不明。

 マルカ褐色系40型の砥面  マルカ褐色系40型の裏面



マルカ褐色系40型の砥面拡大




マルカ褐色系40型の濡れた砥面拡大




マルカ褐色系40型の研ぎ汁
(↑)勝秀刃物さんで購入し
た褐色系のマルカです。

サイズは40型で、
肌理もツルツル。
ずっしり重い典型的な
「超硬系」です。

勝秀さんで「上級者向き」
とされていた石で、
講師にはまだ使いこなせて
いないような気がします。


色々な名倉を使い分け、
力を抜いて研ぐようにして
いますが、気を抜くと
地を引く(注)ことも。


刃付きは最終仕上げ用
として“素晴らしい”です。
(↑)側面と裏面は、
漆で養生してあります。

側面は目の詰んだ
ページ状の積層で、
裏は層から剥離した
浅葱(あさぎ)系の
荒磨り面でした。

主観的には“あいさ”
かな?・・・と思います
が、ほんとのところは
採掘者しか分からな
いものだそうです。





 (↑)乾燥時の砥面の拡大画像です。

画像では分かりにくいですが、
褐色の地色に、黄色い玉杢模様が
ぼんやりと揺らいでいます。
名倉としていつもマルカのコッパを
使っているので、ツルツルの石肌に
なっています。

この石は、使用する名倉によって、
刃付きの塩梅が極端に変化します。
講師の場合、今のところ最も相性が
良いのは、ご紹介済みの
“マルカ梨地コッパ”です。

マルカを名倉に使う以前は、最終の
小刃付け専用の砥石でした。
軽く数回、撫で研ぎするだけで
艶切れ・永切れする極上の小刃が
付けられます。
 (↑)水に濡らすと急に明るい発色になり
褐色よりも黄色が目立つようになります。

京都天然砥石の銘柄を調べると、
『色物(いろもの)』の項に、
“黄褐色・赤紫・いきむらさき”とありますが
この石は“黄褐色”系の『色物』に分類
されるでしょうか。。。

乾燥時に“褐色”だけが単独優位なので、
“色物”とは呼びにくいかもしれませんね。


勝秀さんの商品表示にも“色物”とは書い
てありませんでした。






(↑)黒幕2000の後で研ぎ出した研ぎ汁。

今回は、マルカ梨地コッパを名倉に使
いました
が、それ以外はこれまでと同じ
条件です。

名倉無しだと、研ぎ汁が出るまで
2~3分かかります。

しかしマルカ名倉を使うととたんに豹変して
黒々と刃金をおろし始めます。対馬黒名倉
や純三河白名倉でも研削力はUPしますが
マルカ名倉ほどではありません。

石にも相性がある・・・当たり前と言え
ばそれまでですが・・・ミクロの世界で
どんな理化学反応が起こっているのか、
ちょっと不思議な気持ちになります。



  (注)地金を引く・・・砥石にはガラス質の天然研磨剤(=石英=シリカ)が含まれますが、これが破砕せずに塊状のまま刃物の地金部分に突き刺さり、
                結果的に、砥石の砥面と刃物の切り刃面に“引き傷”をつけてしまうことを、「地金を引く」「地を引く」「引けが入る」などといいます。


★以下は、『マルカ褐色系40型×青紙2号B』(220倍率)のUSB顕微鏡画像です。

 マルカ褐色系40型の研磨条痕1  マルカ褐色系40型の研磨条痕2  マルカ褐色系40型の研磨条痕3
 (↑)マルカ褐色系40型×青紙2号B。
黒幕2000から直接乗り換えて、5分くらい研いだ画像。

目立て用のドレッサーとして対馬黒名倉をかけましたが
名倉汁は洗い流して、素の砥面で研いでみました。

この石をこの方法で研ぐのは、講師にはハードルが高
かったようで、研ぎ始めに少し地を引いてしまいました。

画像を見ても、
刃先が波打っており、永切れするかもしれませんが、
マルカ特有の緻密な刃が付いたとは言いにくいです。



 ②左の①の状態からさらに2~3分研いだ画像。

今度はマルカ梨地コッパ(:梨地60型で使ったもの)
を“名倉”に使って研ぎました。

それまでとは見違えるように刃金を黒々とおろし、
刃先の凹凸も若干落ち着いてきた様子です。

講師の場合、
この研削力をマルカ梨地コッパだけから引き出すこと
はできません。
『褐色系40型+梨地コッパ』という組み合わせから
初めて生まれるパワーです。


 ③②からさらに2~3分くらい、同じマルカ名倉を使って
名倉汁を巻き込みながら研いだ画像です。

刃先の凹凸が目立たなくなり、鋭利になったのが
確認できます。梨地60型とほぼ同等の鋭利さです。
研ぎ込めば、さらに鋭利になりそうです。

黒幕2000の後で、すぐにマルカ名倉を使って研いでい
れば、7~8分でこの状態に持って行けたと思います。

・・・とは言え、大平巣板などの“中継ぎ”を入れる方が、
疲労感なく、ラクに研ぎ上げることが出来るとは思いま
すが。。。


 マルカ梨地コッパの研磨条痕
        (↑)マルカ梨地コッパ × 青紙2号B
   マルカ梨地コッパだけで研磨した条痕画像です。
    黒幕2000の後で直接乗り換えて、5分くらい研いで
    実用的な刃が付いたところで撮影しました。

(←) 梨地60型より軟質で、刃金を黒々とおろすタイプでは
    ありませんが、マルカらしい手早い刃付きです。

    このコッパ名倉が、梨地60型・褐色系40型と組むことで、
    超仕上げの刃付けが驚くほど容易になるのは何故か?・・・
    真のメカニズムは謎ですが、この石の存在に感謝したいです。



3.マルカ小豆色系30型・・・化学反応で研削しまくる鬼おろしタイプ。採掘層は不明。

 
マルカ小豆色30型の砥面
  
マルカ小豆色30型の裏面




マルカ小豆色30型の砥面拡大




マルカ小豆色30型の濡れた砥面拡大
 

マルカ小豆色30型の研ぎ汁1
(↑)マルカ小豆色30型。
珍しい石かと思います。

実物の発色は本当に
アズキの色みたいで、
一目惚れで購入。

吸水性はやや高め。

砥粒の繊細な
マルカにしては、珍しく
「鬼おろし!」です。

(↑)裏の表情。
大ナマズ乱入の浅葱。
複雑な表情です。

似た感じの裏を
大平内曇り(刃引)で
見た事がありますが・・・

剥離面を荒磨りして
坐りを良くしてあり、
中山らしい皮肌も
ちょい残っています。

(↑)乾燥時の砥面の表情です。
ここに「ハタホシ」の印がありました。

この石は、コグチに㋕印が無く、
純真正とハタホシの印だけでしたが
老舗の請け合い付きだったので
マルカだろうと思います。

老舗曰く、
「㋕印を押し忘れたのでは?」

・・・ほんとにマルカかな?
  ちょっと心配。笑
(↑)濡らすと、こんな感じです。

実物はもう少し赤味がかっていて
アズキ色そのものです。

乾燥時の色も赤紫系なので、
“色物”と呼んでもいいような
気がします。

お店は「むらさき」という表現を
していたと思います。

 
(↑)これまでと同じ条件で、
約30秒間研いだ研ぎ汁です。
( :目立て用のドレッサーとして
マルカ梨地コッパを使用後、
名倉汁は洗い流して、素の砥面
で研ぎました。)


最初は黒灰色だった研ぎ汁が
見る見る茶色い枯れ葉色になり、
1分後には黄緑色+灰色みたいな
色に変色。。。

この変化はさらに続き・・・

   

 マルカ小豆色30型の研ぎ汁2







マルカ小豆色30型の研磨条痕




 マルカ小豆色30型のコグチの積層  
(↑)約2分後、とうとう“黄色”になってしまいました。

一部の業者さんは
「鉄粉の粒度が細かいと、酸化するのも速い」
と説明しますが、これを否定する業者さんもいます。

少なくともこの石の砥粒はさほど細かくないので
もっと特殊な化学反応の介在を推理したくなります。

砥泥があまり出ないのに“鬼おろし”なのも、
この化学反応おかげではないか・・・
“物理的”プラス“化学的”に研削している印象
が強いです。。。

不思議と、刃物が錆びやすいなどのトラブルはなく、
マルカらしい硬さで、面ダレもほとんど生じません。

鋼種を問わず、刃先の“返り”がほとんど出ないのも
特徴の一つです。



(↑)マルカ小豆色40型×青紙2号B。
黒幕2000からそのまま乗り換えて、
名倉を使わずに、2~3分研いだあと撮影しました。

このあとさらに研ぎ込んでみましたが、
刃付きの鋭利さは多少アップしたくらいで
大きくは変わりませんでした。

マルカとして粒度はさほど細かくないですが、
#2000から短時間でここまで仕上げてしまう石は
手持ちの石ではあまり無く、珍しいです。

刃付きの緻密さは、
“仕上げ彫り”に問題なく使えるレベルで、
永切れ感もあり、何かと重宝で有り難いです。

特に、塗師屋包丁などの大型の刃物を研ぐときには、
研ぎ疲れ無く、良い刃が付くので頼もしいです。
この石に出会えて、ほんとうに良かったと思います。



(↑)最後にコグチの表情です。

整然としたページ状の積層が観察できます。

厚みは32ミリほどですが、
2㎝以上研ぎ減らすと、
浅葱にナマズと淡いカラスの混じった層が
現れそうで、ちょっと楽しみです。

でも・・・その前にこちらの寿命が尽きそうな・・・

この石は硬くて面ダレしないので、
日常的に使ってもほとんど目減りしないのです。

砥面の純真正本山・ハタホシ印が消えたあと、
㋕のしるしが無いのが寂しいので、自分で
覚え書きを入れました。(:ネオクリヤーの上に
油性マジックで記入。灯油で拭きとれます。)
が、やっぱり、
『㋕正本山』の印影がほしかったかな・・・と思う
今日この頃です。

【ご注意】
上掲のUSB顕微鏡画像は、光線の照射角度・ピントの深度差・返り刃部分の画質ニュアンス等々の諸条件により、画像の印象が大きく変わるので、“参考”程度にご覧ください。
また、各画像に付記した「研ぎの所要時間」も、マイクロスコープで刃付けの状態を確認しながらアバウトに計った“目安時間”で、
ストップウォッチを使った“実質延べ時間”ではありません。
講師はどちらかというと、切り刃面に支えられながらやんわりと研ぐ“手の遅いタイプ”だと思います。(駆け出しの頃、仲間内で「じじくさい研ぎ」とからかわれたこともあります。笑)
手早い人が3~4分幅の小刀・切り出し類などを研ぐ場合、ここに記した所要時間の半分くらいの時間で研ぎ上げることも可能かなと思います。



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【追記――マルカによる仕上げ研ぎの一例&試し切りティッシュカット――平成26.9.25

◆「マルカで繊細な刃を付けたいとき、どんな研ぎ方をすればよいか?」
 「“名倉汁を巻き込みながら研ぐ”とは、どんな研ぎ方か?」
 「他のお山の石と比べて、マルカで付けた刃の切れ味が“特に凄い”というのは、ほんとうなのか?」
 ――などなどの一部会員さんの疑問に、以下、画像をまじえてお答えします。

ご紹介する研ぎ方は、彫刻刀の最終仕上げの研ぎ方として昔から行われている方法ですが、このほかにも
 「刃渡り線に平行に運刃して研ぎ上げる方法」(:鋭利だが刃こぼれしやすい、永切れしない等の短所があると言われます)、
 刃物によっては「“楕円”や“8の字”に運刃して研ぎ上げる方法」などもあり、
 研ぎ手の工夫次第で色々な研ぎの効果が引き出せると思います。


  右小刀を濡れ空研ぎしているところ

  濡れ空研ぎした右小刀の切り刃の曇り
 (↑)硬口のマルカで“名倉汁を巻き込みながら”研いでいる画像。
 刃物は白紙2号Aの右小刀、刃幅三分五厘(=約10.5ミリ)、
 刃厚2.6ミリ、切り刃の角度は切っ先:21度、中間~アゴ:26度。
 画像は、切っ先から研ぎ始めてアゴの末端まで
 段階的に研ぎおろした所です。
 刃物を左から右へと徐々に移動させながら、緩いアール刃の
 刃先に繊細な刃を付けて行きます。 ストロークは5ミリくらい。
 水研ぎと空
(から)研ぎの中間の“なま乾き”の状態で研ぐので
 「濡れ空研ぎ」と呼ぶ人も。 
 砥面と切り刃面との間で“砥糞=砥泥と鉄粉”を転がしながら
 グズグズと“とろかすように”研いで行く感じです。 
 画像のように、刃裏の刃先に砥糞
(とくそ)が薄く乗って来ます。
  (↑)刃裏も5ミリ位のストロークで左から右へと「濡れ空研ぎ」して、“返り”を除きます。
   その結果、刃表に“返り”が出たら、また同じ要領でやんわりと刃表を研いで“返り”を
   除きます。 
   この作業を交互に繰り返して、自然に“返り”が無くなったら、“研ぎ上がり”です。

   研ぎ上がりの切り刃面の地金は、通常は、画像のように曇ります。

   「切り刃を“鏡面”に研ぐほうが、より細かい刃が付く」と力説する人もいますが・・・。
   少なくとも木彫用の彫刻刀については、
   「鏡面のほうが繊細に切れる」とは言いにくいと思います。



ティッシュカット1枚切り

 ティッシュカット2枚切り 第1ラウンド

ティッシュカット2枚切り 第2ラウンド
(↑)試し切りで、ティッシュぺーパーを撫で切りにした画像。
この“ティッシュカット”はかなり以前に「丸尾山の掲示板」
で紹介されていた方法です。
今回のティッシュカットの手順は――
1.ティッシュを砥石で押さえてテーブルの端から垂らす
2.ティッシュの下端を摘まんで軽く引き、ティッシュ面に
  “張り”を与える
3.繊維の走行に対し直角方向に撫で付けるようにカットする
――という要領ですが、研ぎ上がって最初の試し切りなので
かなりシャープに切れています。 

しかしよく見ると、
刃表側のティッシュ繊維のほうが“横裂け・ほころび”が多く
刃裏サイドの方がきれいに切れています。

どうやら刃表側の“返り”が少し残っていたようです。
 (↑)今度は“2枚重ね切り”。
 調子が良いので、ティッシュの下端を摘まむのを止めて、
 “垂らしたままの状態”でカットしてみました。
 右側のカットラインは繊維方向に対して斜めに切っています。

 一人で撮影したので、彫刻刀を一時停止してシャッターを切る
 のが難しかったですが、
 実際にカットする時の角度は、もう少し柄尻を下方向にさげた
 “ゆるい撫で切り”でした。


 ティッシュカットの成否は“切り刃の角度”にも左右されます。
 例えば、薄刃の“カミソリ”ならもっと簡単にカットできます。
 ティッシュの銘柄や“湿度”なども影響するだろうと思います。

 ちなみに今回カットしたティッシュの銘柄は「スコッティ」でした。

 (↑)“2枚重ね切り”を、繊維に対し直角方向に運刀してトライアル。
 最初に比べて、カットラインの繊維の“抵抗”が目立つようになり、
 ぼちぼち“切れ止み”の兆候が・・・。

 「鉋の薄削り」に詳しい人の話では――、
 『ティッシュカットが出来る刃付きなら、仕込み等の条件が整えば
 4ミクロン前後の削り華を出すことが可能』――なのだそうです。
 しかし、鉋刃の切り刃角度は“30度~24度”くらい。ここで使った
   “アール刃の21度~26度”よりも ちょっと条件がシビアです・・・

 木彫の場合は――立像の肩口や足の甲の滑らかさなど――
 「木口断面の艶切れ感」を出したい時に、こんな研ぎ方をしますが、
 通常はこのような“切れ”が要求される工程はあまりありません。
 特に『ここ一番の艶切れ』がほしい時に、
 『マルカ』が頼れる味方なってくれる・・・と感じています。 


◆最後に――、
  「他のお山の石と比べて、マルカの切れ味が“特別に凄い”というのは、ほんとうなのか?」
 ――という疑問ですが・・・。

この疑問に答えられるほど、沢山の石を研ぎまくったわけではないですが、
  『これまで出会った色々な合砥の中に、上掲の“硬口のマルカの刃付き”を再現できる石はあるか?』
と聞かれれば、刃付きの緻密さ・切れ味の良さでひときわ印象に残っているのは――、

  古い鳴滝・中山の水浅葱・柿色梨地、梅ケ畑系の環巻、大突の硬口、奥殿・尾崎・水木原・相岩谷・月の輪の超硬系・・・

――など、さしあたり“数えるほど”しか思い浮かびません。(・・・「刃物との相性」という問題もあるかもしれませんが)

そしてその“数えるほど”の石も、「細かい砥粒の揃い具合」「刃金のかかり」「滑らかさ」「手早さ」などをチエックすると、
“マルカには一歩~数歩及ばない”という評価をくださざるを得なくなります。

マルカは“切れ味が凄い”だけでなく、その凄い切れ味の刃が“気持ち良く・容易に・手早く付く”という点で、
二重三重に“凄いなぁ”と感じます。

これはあくまでも“個人の感想”ですが・・・。

◆①手入れの行き届いた“性能の良い刃物”を持ち、
  ②“刃物の特徴”(=鋼種、焼きの入り具合、用途など)と“研ぎ手の個性”にふさわしい粒度・硬度の砥石を選び、
  ③研ぎの手法(=平面出し・角度操作・力加減・水加減・名倉加減・ストローク調節・返り刃処理など)を自分なりに工夫する、
――という3つの条件を守れば、
マルカは、絶妙な切れ味を実感するための“最強の味方”になってくれるだろうと思います。

高価なマルカが永きにわたって各種職人の“垂涎の的”であり続けているのは、
それなりの理由があってのことだと感じています。。。

   それにしても価格がもう少し安価だと、“言うこと無し”なのですが・・・
   まぁ、「千里走る馬にはどこかクセがある」と言いますから、
   この点には目をつぶるしかないのかもしれません。。。泣


                              このページの先頭へ




【砥石ワンポイントメモ ③ 木村 潔 先生に合砥をお世話いただいた思い出

 木村潔先生・・・
   木村研磨砥石工業所の二代目で、中山・相岩谷・月の輪の合砥を採掘しておられました。
   京都天然砥石組合の理事長も歴任され、廃絶寸前と言われた天然砥石の普及活動に多角的に尽力されました。
   『“砥匠”がお客の研ぎを1対1で見きわめ、“お客の技量に見合う砥石”を選定する――これが“合砥あわせど”の原義だ』
   ――というモットーを身をもって貫かれた方でもありました。
   先生は平成24年1月、多くの天然砥石ファンに惜しまれつつ旅立たれました。
   現在、木村研磨砥石工業所は三代目の木村宜義(のりよし)さんが受け継ぎ、良砥の加工・販売・普及に精励しておられます。

           木村研磨砥石工業所       連絡先:075-841-9720
              ※電話予約すれば、試し研ぎや顕微鏡等での自己チェックをしながら、自分に合った砥石を購入できます。
               三代目の宜義さんの同席を希望する場合は、事前の申し込みが必要です。



◆平成18年の旧盆が明けて間もない頃、
京都の木村潔先生のお宅にお邪魔して、合砥をお世話いただいたことがあります。

先生が、『お客の研ぎを見きわめながら、お客にふさわしい砥石を選定する』
というサービスを提供しておられると知っていたので、京都の駅前で電話をする前に、
「研ぎがNGでふさわしい砥石がない」と言われたらどうしようか・・・と、しばらく迷い、ためらった記憶があります。

◆それでも思い切って電話すると、先生はたいへん落ち着いた丁寧な口調で――、

「今日は午前中なら大丈夫ですから、どうぞおいでください。
 ところで、いま使っている刃物と砥石は持って来ましたか?」
「刃物は持って来ましたけど、砥石は持って来ませんでした」
「まぁ、刃物さえあれば大丈夫ですから。道に迷ったらまた電話をください」

――これならお任せできる、という穏やかなお話しぶりでした。

◆さっそく、教わった道順をたどってお宅に伺うと、
店舗付きのお宅の応接間に案内され、名刺交換をしました。

「鎌倉彫の彫刻刀用ですか・・・。砥石について、何かご希望はありますか?」
「桂や檜の木口(こぐち)が艶切れするような、緻密で、永切れする薄めの刃が付く砥石を探しています。
 相岩谷カラスで、そんな石があったら欲しいと思っています。あと、裏押し用の硬い砥石も欲しいです。
 刃物の刃金は青紙スーパー鋼で、地金は軟らかく研ぎやすい系統だと思います」
「カラスですか・・・相岩のカラスは硬すぎて、昔は買い手がつきませんでした。
 最近は削ろう会の関係で、欲しがる人も出てきましたが・・・ではちょっと、刃物を拝見」

おずおずと刃物を手渡すと、ちらっと一瞥され、ホコリをふき取って、机上の顕微鏡にセット。
同席していた私のかみさんが、そちらに身を乗り出すと、

「あ、画像はこちらのパソコンに出ますから」と、パソコンのディスプレイを指差されました。
見ると、持参した彫刻刀の刃先が大写しになっていて、研磨条痕が銀色にぎらぎらと光っています。

◆「あの、倍率はどれくらいですか?」
「150倍です。この倍率で見るのがいろいろ分かりやすいのです」
「私の研ぎの塩梅はどうでしょう?」
「これは・・・」
とつぶやかれて、ちょっと間を置き、それから淡々と――、

「見た目は鏡面みたいに研いであって切れそうですが、肝心の刃先は人造砥の#2000相当の刃付きです。
 砥粒が硬すぎて地金と刃金を痛めている痕跡もある。これは錆びや刃こぼれの原因になることもあります。
 質の良い天然砥石で研いだ画像とは、ちょっと違う感じがしますね」

持参した彫刻刀は、アール刃に研いだ9ミリ幅の右小刀で、青紙スーパー鋼。
京都旅行の出発直前に思いついて、黒幕2000でざっと中研ぎした後、
エビ純白8000で、うわべの研磨条痕が目立たなくなる程度に“やっつけ研ぎ”したものでした。
確かに、手持ちの青紙スーパー鋼とエビ純白の相性は悪く、スーパー鋼に細長い引き傷が入る傾向があって、
通常の仕事では組み合わせて使わないようにしていたのです。

初見ですべてを見抜かれ、木村先生への信頼感は120%にアップしました。

◆「では田中さん、すみませんが、今ここでちょっと研いでもらえますか。
  ご自宅でくつろいで研ぐような、いつも通りの手でお願いします」

こうなったらまな板の鯉で、言われるままに、お借りした相岩谷の合砥で研ぎ直しました。
(この相岩谷がまた中硬の良い石で、極上の中山そっくりの研ぎ心地でした。)

2~3分研いで、軽く裏を押して手渡すと、また顕微鏡にセット。
今度は、ディスプレイの研磨条痕の画像が、黒っぽい色になっています。

「さっきの銀色から黒っぽい色に変わった部分は、#10000番くらいの研ぎが入ったところです。
そう見えるように、光の当て方を調節してあるのです。。。

・・・こうして見ますと、今度はだいたい研げているようですが・・・あ・・・このカーブの強い刃先の部分・・・
わずかですが、まだ銀色の箇所が残ってますね・・・刃先に砥石が当たりきってない部分です・・・。

ではひとつ、この部分だけを狙って、もう一度研いでください」

◆(えっ・・・ピンポイントで研ぐの・・・?)
アール刃の刃先に研ぎ残しがあった場合、
もう一度アール面全体を研ぎ直しながら、研ぎ残しを研ぎ消して行くのが通常の私のやり方だったので、
「特定のピンポイントだけを狙いすまして研ぐ」というのは、あまり自信がありませんでした。

(・・・手の定(き)まり加減をチェックするのかな・・・硬いカラスを欲しがったからかな・・・)
隣ではかみさんが面白そうに成り行きを見守っています。
(・・・ここでしくじったら、かなり立場がないかも・・・)
でも、もう仕方ありませんから、不安な思いを胸にピンポイント研ぎを決行しました。

半分やけくそで先生に刃物を手渡すと、先生はまた顕微鏡にセットして、

「あ、黒っぽくなりました。ほら、研げてますね」

運良くちゃんと研げていてホッとしたとたん、手のひらにじわ~っと汗が滲み出しました。
先生は立ち上がり、
「そういうことなら・・・」とつぶやきながら別室へ。。。

◆数分後、両手に3丁の砥石をしっかりと持って戻って来られました。
机上に置かれた石を見ると、お目当ての綺麗なカラスのコッパ2枚と、台付きの梨地のサン型が1丁。

「相岩のカラスと、月の輪の硬口です」

そうして、それぞれを顕微鏡で観察して、
「カラスは、こっちのカラスのほうがシリカ(:石英などのガラス質の天然研磨剤)が多く、粒も揃っていて、良質です。
月の輪は、実は私が篆刻刀を研ぐのに少し使っていたもので、
裏を研ぐのに具合の良い石ですが、若干硬すぎるかもしれません。
かかり・滑りが悪い時は、三河名倉をかけるか、
このセリサイト(:絹雲母のこと。微細な白い粉末で、保水潤滑効果があります)を潤滑補助剤として使うと良いです」

選定された二つの石で念入りに試し研ぎをして、顕微鏡で刃先を観察すると、ダメージの無い緻密な刃付きで、
持参した桂材の木口に打った刀痕も、イメージ通りの“濡れ艶”になりました。

その他にも相岩谷の“彫刻刀用砥石”を記念に1つ頂戴して、
慌ただしい訪問のお詫びと、ご高配へのお礼かたがた、先生宅をおいとましました。

◆外に出て時計を見ると――たしか11時半頃だったと思いますが――ご挨拶してから1時間以上経っており、
時の経過の思いがけない速さに、かみさんと二人でびっくりした記憶があります。

昼食をとりながら、かみさんは
「理路整然としていて、まるで大学教授みたいだった。さすがだった」としきりに感心していましたが、
私は目的を果たした充実感と虚脱感でぼんやりした気持ちになり、なま返事もできませんでした。


――その後の自分をふり返ると、先生の影響力は絶大で、この『合砥あわせど体験』を契機に、
砥石と刃物に対する考え方・接し方が、自分なりに大きく変わったように思います。

木村先生、その節はほんとうにありがとうございました。



  月の輪サン型と相岩谷カラスコッパクロームとセリサイト
   (↑)こちらがその時お世話いただいた砥石2丁&クローム&セリサイト。
     クロームは主に刃物の艶を出すための光沢補助剤だそうです。
     蓋上のカタカナ文字は、購入当初から書かれていたもので、先生の直筆かなと思います。
     どれもたいへん調子よく使わせていただいております。(相岩谷を特集する時に詳しくご紹介しますね)
     “彫刻刀用”の相岩谷は黄板で梨地のすごく良い石でしたが、所望する会員さんにお譲りしたので、手元にありません。



  京都天然砥石の魅力 大工道具・砥石と研ぎの技法
   (↑)天然砥石のバイブル『京都天然砥石の魅力(H15年改訂3版)』&『大工道具・砥石と研ぎの技法(誠文堂新光社刊)』
     この2冊には、砥石ファンの必須知識が体系的に網羅されていると思います。
     どちらの本にも、木村先生のコメントや記事がいろいろ載っています。お奨めです。


                               
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◆・・・以上で今回の『純真正本山・正本山』を終わります。

今回は試みに、
『やや軟質で梨地系のマルカのコッパ』が発揮する“名倉効果”という切り口からも、
私的な感想を書き加えてみました。
(・・・きっと、同じような使い方をしている人が相当数いらっしゃるとは思いますが。。。)

この『やや軟質・梨地系のマルカ名倉』は、中硬~硬口~超硬系の天然砥石に使うのであれば、マルカだけでなく、
他のほとんどのお山の石に対して有効だと思いますので、興味を持たれた方は、一度試してみてください。

もともと調子の良い石なら、さらに良い刃が付くようになりますし、
地を引く、針気を感じる、滑走感がイマイチ、刃金のかかりが甘い・・・等々の困ったちゃん系の石ならば、
様々な症状が改善して、繊細で永切れする、ダメージの少ない刃が付きやすくなると思います。。。

相岩谷梨地、高島カラス・敷巣板、新田巣無し巣板、奥ノ門白巣板、大平内曇・白巣板、水木原天井巣板、丸尾山本戸前・敷戸前、一本松戸前
 等々も、やや硬めのマルカに対してかなりの名倉効果
がありました。特に相岩谷・高島・新田は、マルカ用の名倉として扱い易いと感じました。

◆今回、手持ちのマルカに関する文章を書きながら、鎌倉彫のとある大先生の次のお言葉を思い出しました。

『自分の研ぎを活かしてくれるような、本当に相性の良い砥石に出会えるのは、すごく稀(まれ)なことだ。
 私は、半世紀以上にわたり、数えきれないほどいろいろな砥石に出会ったが、
 ずっと座右に置きたいと思うような石には、わずか5丁ほどしか出会えなかった』

しみじみとしたお話しぶりで、“良砥”に出会う困難さ(≒幸運さ)がずっしりと伝わってくる内容でした。

このほかにも――、

『中途半端な石を100丁持つよりも、本当に良い石を1丁持つほうが良い』

『良い砥石には、「いつかこの砥石を研ぎこなせるようになりたい」と思わせるような、不思議な魅力がある』

『砥石は縁起物だ。良い石を血眼(ちまなこ)になって探しても、見つからない時は見つからない。
 見つかる時は、こっちが探さなくても、むこうから飛び込んでくるように見つかる。
 良い砥石に出会えた時は、良い仕事にも出会えるから不思議だ』

――などなどの、砥石がらみの印象深いコメントを思い出しました。

◆マルカ純真正本山の天然砥石には、上述のような砥石好きの“熱い思い”を包み込む
“ふところの深さ”があるように感じます。

もちろん、
『産地や銘柄にこだわらず、自分の刃物・自分の研ぎにふさわしい砥石を選ぼう』
という考えには、原則的に賛成です。
しかし、マルカに関しては、その“原則の例外”と見なす人が多いのではないかと思います。

◆『自分の刃物・自分の研ぎ』は、あれこれ工夫を加えて行く過程で少しづつ変化します。
そしてそれにつれて、自分なりの「砥石の好み」も徐々に変わって行くものです。

手入れの行き届いた良い刃物を持ち、自分の研ぎに磨きをかけ、
今の自分に“ふさわしい石”を見分け、その石を縦横に使いこなす。。。
そんな工夫を繰り返して、最後に篩(ふる)い残される数丁が、その人の「かけがえのない良砥」ですが、
その“究極の良砥”の中に、マルカが採択される確率は、かなり高いのではないかと思います。

◆このページをご覧の方々は、すでにマルカの研ぎを経験済みの場合が多いだろうと思いますが、
もし、「まだ研いだことがない」という方がいらっしゃるなら、一度お試しになることをお勧めします。

マルカの真の良さは、刃物を研ぐ時だけでなく、研いだ刃物を使った時に改めて身にしみることが多いです。
自然の恵みが生み出した精妙な研磨力と刃付けを、実体験を通じて味わってみてください。

◆手持ちの石には、他にもマルカの小さなコッパ・小型の原石類が数枚ありますが、
そのご紹介はまた次の機会にゆずりたいと思います。


それでは今回はこの辺で。
最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。

 (次回は少し目先を変えて、天然の中砥石――丹波の青砥or南牧砥沢の沼田砥――どちらかを取り上げたいと思ってます。)


                                                (平成26年8月29日記)

                                   ――つづく――
                                                
鎌倉彫道友会の看板猫:タマの寝顔です。

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