鎌倉彫道友会のシンボルリーフ:四葉のクローバーです鎌倉彫道友会  

          鎌倉彫 作品 展示室

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  作品の下のコメントは、講師:田中光堂によるものです。
   コメント末尾の【 】印は、漆塗りを手掛けた塗師(ぬし)の名前です。
   凡例: 【魁】…櫻井魁山  【圭】…宇田川圭介  【光】…田中光堂
   『リンクの輪』のページに“塗師のご紹介”を載せてありますので、どうぞご覧ください!

   ※画像とコメントがずれる場合は、拡大率を100〜75%に設定し、ページの幅を広く開いてご覧くださいませ。m(_ _)m


【バックナンバー 一覧】・・・下記の日付をクリックすると、これまでに掲載した画像をご覧になれます。  

*2011年12月1日掲載分(1)  *2012年1月1日掲載分(2)  *2012年4月4日掲載分(3)  *2012年7月10日掲載分(4)

*2013年5月5日掲載分(6)   *2014年1月5日掲載分(7)  *2014年8月16日掲載分(8) *2016年9月1日掲載分(9) 

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◆以下は2012年11月4日掲載分の22作品です。

 桜文様盒子の全体俯瞰画像     桜文様盒子の部分拡大画像(1) 
  桜文様の眼鏡入れの部分拡大画像(2)    桜文様の眼鏡入れの身と蓋の画像
       桜文様の眼鏡入れの部分拡大画像(3) ◆桜文様の大判型の合子(ごうす※)です。
木地屋さんは「眼鏡入れ」として製作したようですが、ほとんどの生徒さんが「貴重品入れ」に使っておられるようです。
全体に丸みのある形状なので絵付けも彫りも一苦労ですが、この作品は葉や蕾の“しだれ”を丸みの上に乗せて、“やわらかさ”や“奥行き感”をうまく演出しています。
蓋の側面は机上では彫りにくいので、手に持って彫ることになりますが、ここでは手堅く自然に処理されていますね。
塗りは、本朱干口塗り(ひくちぬり)の研ぎ分け(背景・葉・枝・茎・ガク)、赤めの本朱干口塗り(花弁)、洗い朱黄口干口塗り(花芯)の3色塗り分けです。   【塗師:光】
※合子・・・身と蓋から成る小さい容器のこと。蓋物の食器類や香合類など。「盒子」とも書き、読みは“ごうす”または“ごうし”と発音します。






     紅花緑葉の壁飾り 全体画像  紅花緑葉の壁飾り 部分拡大画像(1)

紅花緑葉の壁飾り 部分拡大画像(1’)
  紅花緑葉の壁飾り 部分拡大画像(2)  紅花緑葉の壁飾り 部分拡大画像(3)
◆「紅花緑葉硯箱(:中国明代の彫漆)を、鎌倉彫風に模刻した作品で、長辺は50センチ程の大きさです。
花弁脈翼脈羽毛脈花芯脈は、簡略化して彫りましたが、図案の配置はほぼオリジナル通りに仕上げました。
塗りは本朱と緑の干口塗り(ひくちぬり)です。
細かい地透きが多く、たいへんな作業だったと思いますが、たちこみの角度・深さも揃っており、上々の出来栄えだと思います。
それにしても“紅と緑”の彩色効果は凄いですね。
参考に白黒写真を添えましたが、両者を見比べると、“彫刻”と“色彩”との相補性や対峙性が読み取れて興味深いです。
微妙な彫りの陰影を浮き立たせる“干口(ひくち)塗り”の技法が、いかに優れた彩色法であるかを今更ながら痛感します。
                    【塗師:魁】
※紅花緑葉(こうかりょくよう)・・・
堆朱の一種で、朱漆・緑漆を塗り重ね、朱漆層に花、緑漆層に葉が現れるように彫ったもの。「柳は緑、花は紅」というのと同じで、“あるがまま、ありのまま”を意味する文人用語でもあるようです。

 紅花緑葉の壁飾り 部分拡大画像(3’)














  山吹文様の長盆 全体画像  山吹文様の長盆 部分拡大画像(1)
    山吹文様の長盆 部分拡大画像(2)   山吹文様の長盆 部分拡大画像(3)
◆山吹文様の長盆です。
図案は、作者の好きな古い漆器(陶器だったかも?)の文様を、部分的に鎌倉彫風にアレンジして、再構成したと記憶しています。
アウトラインの“出入り”が多い絵柄なので、“たちこみきわ彫り”の工程で、文様全体をバランスよく浮き出させることが大切ですが、この作品は丁寧に処理できていると思います。
花・葉の数が多く、全部にしゃくりを入れると“くどい感じ”がしそうなので、「無地」と「脈入り」をランダムに彫り分けました。
花の裏側のガクや手前の岩肌の表現も面白く、華やかで可愛らしい仕上がりになったと思います。自由気ままな刀痕(とうこん)が細かく入り組んだ図柄と対照的で、なかなかマッチしていますね。
                           【塗師:圭】
   
   山吹文様の長盆 部分拡大画像(刀痕)






  紫萼文様の香盆 全体画像  紫萼文様の香盆 部分拡大画像(1)
  紫萼文様の香盆 部分拡大画像(2)  紫萼文様の香盆 部分拡大画像(3)
聖衆来迎寺に伝わる『紫萼(ぎぼし)文様堆朱香盆』(:中国元代の張成の作)を鎌倉彫風に模刻した作品で、鎌倉彫の教室ではお馴染みの教材だと思います。
玉縁(たまぶち)の付いた香盆は、内側辺縁部が鉢状に反り返っていて、なかなか彫りにくいものです。この作品では、玉縁直下の地透き面積がやや広めに仕上がりましたが、生徒さんの作品として、たいへんよく頑張られたと思います。
地透きの深さの均一さ”に加えて、複雑にからみ合う“茎の流れの整合性”や、花弁・花芯の“薬研彫り(やげんぼり)の精度”等々、チェックポイント満載の教材ですが、真面目に彫るとたいへん立派で見応えのある作品に仕上がります。
この作品では、葉肉のたっぷりとしたふくよかさが存分に表現されていて、部屋に飾ると運気が上昇しそうです。
かすかな細かい刀痕を、ひとつひとつ丁寧に研ぎだした塗りの効果も印象的だと思います。  【塗師:魁】



 紫萼文様の香盆 部分拡大画像(4)










  黄蜀葵文様の丸盆 全体画像  黄蜀葵文様の丸盆 部分拡大画像(1)
 黄蜀葵文様の丸盆 部分拡大画像(2)  黄蜀葵文様の丸盆 部分拡大画像(3)
   黄蜀葵文様の丸盆 部分拡大画像(4)            黄蜀葵文様の丸盆 盆裏の刷毛目
◆黄蜀葵文様の堆朱香盆(京都、個人蔵)を、鎌倉彫風に模刻した作品です。
オリジナルは、『紫萼(ぎぼし)文様堆朱香盆』と同じく“玉縁(たまぶち)仕様”ですが、ここでは別型の盆を使って彫りました。
『黄蜀葵』は、いわゆる“トロロアオイ”のことだそうで、ウィキペディアで調べると、人の背丈ほどある大型植物の画像が紹介されています。
遠近の奥行きをしっかりと彫り出しながら、細い薬研(やげん)をたくさん彫り込んで行く作業が難しいと思いますが、作者はたいへん根気よく、一点一画を大切に、最後まで同じ精度で彫り上げました。立派な仕上がりだと思います。
右下の黒っぽい画像は、塗師:櫻井魁山さんのオリジナルの“刷毛目(はけめ)”で、『亀甲型の青海波文様』をかたどったものです。ときどき「裏はどうなってるの?」と訊かれるので、今回ためしに掲載してみました。 
                                             【塗師:魁】






   竹梅文様の壁飾り 全体画像   竹梅文様の壁飾り 部分拡大画像(1)
   竹梅文様の壁飾り 部分拡大画像(2)   竹梅文様の壁飾り 部分拡大画像(3)
◆竹梅文様の壁飾りです。
『松竹梅鶴蒔絵箱』という蒔絵の古典作品を、鎌倉彫教室用にアレンジして図案化しました。
大きく湾曲した梅の幹が“イナバウワ―”みたいで人目を引きますね。笑
作者は、鎌倉彫歴17年のベテランで、この作品を“米寿(88歳)”で手がけられました。ご本人は、「十数年前と比べると、細かいところが思うように彫れなくなった」と言われますが、とても味わいのある魅力的な彫り口だと思います。このような枯淡の味わいは、長年お稽古を続けた生徒さんがご高齢になられた時に初めて滲み出るもので、作為的に演出するのは難しいと思います。
“鎌倉彫は深いなぁ”と痛感します。。。
この作品は、お好みの“額装”にするのも似合いそうです。                   【塗師:魁】

  竹梅文様の壁飾り 部分拡大画像(4)







   芦穂文様の長盆 全体画像   芦穂文様の長盆 部分拡大画像(1)
     芦穂文様の長盆 部分拡大画像(2)     芦穂文様の長盆 部分拡大画像(3)
◆芦穂(あしほ)文様の長盆です。
オリジナルは東京国立博物館蔵の『芦穂蒔絵鞍・鐙(あぶみ)(重文。伝豊臣秀吉所用)。乗馬用の鞍(くら)に描かれた蒔絵文様を、鎌倉彫で浮き彫り表現しました。
最初は“大判型の鉢”に深彫りしようかとも考えましたが、作者のご意向で、先ずは長盆に浅めの彫りで小手調べしました。
細長い芦の葉が幾重にも重なりながら、あり得ない捻じれ方をしていて、彫刻表現の整合性を保つのが大変だったろうと思います。
芦穂の粒々が、略式ながら明快に彫られていて、小気味良い仕上がりです。
おはじきをばら撒いたような流れの無い石目刀痕いしめとうこん(:“石垣刀痕”とも)が、互いを追いかけ合うように周遊する芦の動きと対照的で、バランスの良い効果が出ていると思います。
                   【塗師:魁】
   芦穂文様の長盆 部分拡大画像(刀痕) 






 仏通寺牡丹唐草文様の壁飾り 全体画像  仏通寺牡丹唐草文様の壁飾り 部分拡大画像(1)
   仏通寺牡丹唐草文様の壁飾り 部分拡大画像(2)   仏通寺牡丹唐草文様の壁飾り 部分拡大画像(3)
◆仏通寺の牡丹唐草を、壁飾り用に再構成して図案化した作品です。
「背景部分の“地透き”」、「花弁・葉の“峰立て”」、「花芯・葉の辺縁部の“薬研彫り”」、「蕾・返り部分の“面取り”」などがチエックポイントですが、この作品はひとつひとつ丁寧に仕上げられていて、なかなかかっこいいです。
特に、葉の辺縁部の“片薬研(かたやげん)”は、幅や深さのバランスを均一に彫るのが難しく、基礎技法の習熟度が問われる部分ですが、ここでは手堅い彫り口できちんと表現されていると思います。
額の長辺は33cm、彫りの深さは最大で5〜6ミリくらいですが、たちこみの角度が直角に近く、面の取り方が巧みなので、実際よりも彫りが深めに見える印象があります。
この作品は、諸般の事情で退会された生徒さんの彫りかけの作品を、その親友の生徒さんが引き継ぐ形で彫り上げられたもので、そういう意味では“友情が結晶化した作品”でもあります。
最後まで見捨てられずに大事に彫り継がれたという点では、素材である木地もきっと喜んでいると思います。
この作品も、お好みの“額装”にすると、一味違うムードが楽しめそうです。
          【塗師:魁】






 大唐花文様の壁飾り 全体画像   大唐花文様の壁飾り 部分拡大画像(1)
 大唐花文様の壁飾り 部分拡大画像(2)    大唐花文様の壁飾り 部分拡大画像(3)

◆大唐花(おおからはな)文様(宝相華系)の壁飾りです。
図案は、中国(韓国だったかも?)の伝統文様を下敷きに、作者が換骨奪胎して再構成したものです。
入門6作品目の製作で、基礎技法を効果的に組み合わせた彫刻表現が、なかなか魅力的だと思います。
技法的には、
片薬研」「両薬研」「しゃくり峰立て」「面取り」「地透き」の5技法で構成されていますが、バランスがよく、彫り口もすっきりしていて、センスの良さが伝わってきます。
もっとも悩んだのが中央部の6弁の花文様の彫り方でしたが、最終的には花芯を“面取り”、花弁を“平らな地+薬研”であっさりと彫り分けました。凹凸の多い周囲の表現とのバランスを考えると、これで正解だったと思います。
お部屋を飾る縁起物の壁飾りとして、永く愛される作品になったと思います。     【塗師:魁】


   大唐花文様の壁飾り 部分拡大画像(4)






 柿文様の長盆 彫刻部分の全体画像  柿文様の長盆 部分拡大画像(1)
   柿文様の長盆 部分拡大画像(2)   柿文様の長盆 部分拡大画像(3)
◆柿文様の長盆の画像です。
文様は、折り取った柿の枝を無造作にあしらった、いわゆる“一枝(ひとえだ)もの”タイプの図柄で、折り口から枝先に向かう“奥行き感”がゆるやかに表現されています。
柿の実のヘタ・ヘソ、枝の“切り口”“フシ”、葉の“虫食い”“返り”等々、彫りの「見せ場」がたくさんありますが、この作品は刀痕の彫り分けが巧みで、たいへん説得力のある仕上がりになったと思います。
特に、背景一面に彫り込まれた“繊細で不定形な刀痕”には独特なムードが漂い、この作者特有の“きめの細かい温もり”が感じられます。
お店の商品には、なかなか見られないタイプの刀痕で、素人作品の面目躍如たる趣を感じます。   【塗師:魁】


  柿文様の長盆 部分拡大画像(刀痕)






 宝相華唐草文様の楕円盆 全体画像  宝相華唐草文様の楕円盆 部分拡大画像(1)
    宝相華唐草文様の楕円盆 部分拡大画像(2)  宝相華唐草文様の楕円盆 部分拡大画像(3)
    宝相華唐草文様の楕円盆 部分拡大画像(4) ◆宝相華(ほうそうげ)文様の楕円盆です。
オリジナルは中尊寺の『金銅迦陵頻伽(かりょうびんが)華鬘(けまん)』の宝相華唐草文様で、華鬘の左上部をほぼ忠実に図案化したものです。
この作品は、(:背景)のなだらかな丸みが絶妙で、文様が水面を漂うように上品に浮き出ています。
作者は“木彫”の経験者でもあり、彫刻のメリハリ表現が巧みな方ですが、ここでは、“蔓・茎の捻転”“花弁の肉付け”“花弁中央部のゆるい刀痕”“花芯部の細い薬研”などが手際良く彫り込まれており、唐草文様にみなぎる明朗なリズム感に花を添えているように感じます。
上段右・下段左の画像に見られる盆縁部の“段差表現”も独特なもので、なかなか面白いと思います。
                 【塗師:魁】






 アライグマ文様の丸皿 全体画像  アライグマ文様の丸皿 部分拡大画像(1)
  アライグマ文様の丸皿 部分拡大画像(2)  アライグマ文様の丸皿 部分拡大画像(3)
◆アライグマ文様の丸皿です。
文様は、17〜18世紀ころのネイティブ・アメリカン(:アメリカ先住民)の陶器のお皿に描かれた絵柄を、できるだけそのままに再現しました。
地透き”と“薬研”と“刀痕”をシンプルに彫り分けた、衒(てら)いの無い作品ですが、オリジナルのデザインの面白さがダイレクトに伝わってくる出来栄えで、眺めて楽しい仕上がりになったと思います。
知り合いの獣医さんの話では、アライグマは凶暴で非常に診療しにくい動物だそうですが、この作品でも“目元”や“口元”の表情に獰猛さの片鱗を窺うことができますね。(笑) 胴体部分の細い薬研の“微妙な揺れ具合”など、よく見るとかなり高度なテクニックがさりげなく盛り込まれていて、見飽きることが無い作品です。
世界各地の民族文様には、アイヌ、インカ、インド、エジプト、アフリカなど、いろいろと面白いものがたくさんあり、彫刻表現する上で食指を動かされるデザインがたくさんあるなぁ、と思います。    【塗師:魁】
バックナンバー(6)(7)に同種のお皿があります。 






 宝尽くし文様の銘々皿 5枚揃  宝尽くし文様の銘々皿 宝袋
    宝尽くし文様の銘々皿 丁子  宝尽くし文様の銘々皿 巻き物
     宝尽くし文様の銘々皿 如意宝珠  宝尽くし文様の銘々皿 打ち出の小槌 
◆宝尽くし文様の銘々皿です。
文様の輪郭は“内ギメ・外ギメ・両ギメ”を併用した“片切り彫(かたぎりぼり)”で、文様内部はお馴染みの“浮き彫り”の技法で表現されています。文様が小さいため、細かい細工が多くて大変だったと思いますが、素朴で好感度の高い仕上がりになったと思います。
黒地にワンポイントの体裁で描かれた伝統文様は、「宝袋(または“金嚢”きんのう)」「丁子ちょうじ」「巻き物」「如意宝珠にょいほうじゅ」「打ち出の小槌」の5種類で、それぞれ「富の象徴」「夫婦円満・健康長寿」「知恵・知識」「心願成就」「願望実現・討敵」などの意味が込められています。
『お宝』にはこの他にも、軍配(:勝負運をつかむ)、分銅ふんどう(:富貴に与かる)、七宝(:現世的幸福の象徴)、宝鍵ほうやく(:福運を開く)、隠れ笠・隠れ蓑(:災厄を免れる)などがあり、それぞれにいろんな願いが込められていて、古来より日本人が“縁起かつぎ”や“開運招福”をいたく重んじて来たことが窺われます。
この銘々皿は慶事にちなんだ茶席などでも重宝しそうです。               【塗師:圭】






 寿字文様の半月盆 全体画像   寿字文様の半月盆 部分拡大画像(1)
◆寿字文様の半月盆です。
中央の“寿”の文字は作者ご自身の筆によるもので、お孫さんのご結婚のお祝いに揮毫されました。
毛筆の“滲み”や“かすれ”を、小刀で正確になぞりながらたちこむのは思いのほか難しいものですが、この作品では毛筆の繊細なタッチが忠実に再現されていて、お孫さんの幸せを祈念するさわやかな“気迫”を感じます。
ひと彫りひと彫り丹念に彫り込まれた背景の刀痕に、制作時の作者のおだやかな息づかいが感じられ、“祝い盆”として申しぶんのない出来栄えであると思います。
                    【塗師:魁】


  寿字文様の半月盆 部分拡大画像(2) 






 蝶々文様の丸皿 全体画像(1)  蝶々文様の丸皿 全体画像(2)
     蝶々文様の丸皿 部分拡大画像(1)     蝶々文様の丸皿 部分拡大画像(2)
◆蝶々文様の丸皿です。
大きなアゲハ蝶と小ぶりなシジミ蝶が交互にあしらわれた文様で、作品全体にのどかなリズム感が漂っています。
アゲハの周囲は“外ギメ”、シジミの周囲が“内ギメ”、文様の内部は普通の“浮き彫り”で表現されていますが、“生活工芸品”としては、こうしたシンプルなタッチがかえって「ホッとする安心感」を醸(かも)し出すように感じます。
厚手の皿の周囲には、斜めの“くずし”を入れて緩やかな花模様を型取り、側面全体に刀痕を打って、表面の赤い平地(ひらじ)との差別化を図りました。          【塗師:光】
バックナンバーのページ(2)に本作とかなり似通ったデザインの作品が紹介されていますが、これは別々の教室の生徒さんの意匠の発想が、たまたまシンクロしてしまったもので、両者の間に制作上の“接点”や“因果関係”はありません。複数の教室で指導に当たっていると、ときどきこのような“シンクロニシティー(:楽しい偶然の一致)”に出会うことがあり、“創作の現場”はなかなか神秘的だなぁ、と思うことがあります。 






 花木瓜文様の小判型手鏡 全体画像  花木瓜文様の小判型手鏡 部分拡大画像(1)
  花木瓜文様の小判型手鏡 部分拡大画像(2)  花木瓜文様の小判型手鏡 部分拡大画像(3)
 ◆花木瓜(はなもっこう)文様の小判型手鏡です。
入門四作品目の作品で、文様全体がほぼ“薬研彫り(やげんぼり)”だけで構成されているため、小刀使いの習熟度が問われる図案であると言えそうです。
特に“柄”の部分は、木目なりの丸味がかった斜面に細かい薬研を彫りつける必要があり、この図案を手がける生徒さんにとって“難関”となっていますが、ここでは手堅い角度操作でしっかりとした彫り込みが為されています。
この作品の『花木瓜』は、古い陶磁器の伝統文様を鎌倉彫教室用にアレンジしたもので、木瓜文様以外の“柄”の部分は、手鏡の形状に合わせて再構成したものです。
好みにより“柄”の部分の彫刻を嫌う人もいるので(∵手触りがゴツゴツする)、柄を無地仕上げにする場合もあります。
                    【塗師:魁】
     花木瓜文様の小判型手鏡 部分拡大画像(柄)





◆以下の作品は、“オールディーズ(昔懐かしい10〜15年くらい前の作品集)”です。

 柚子文様の壁飾り 全体画像  屈輪文様の壁飾り 
◆柚子文様の壁飾りです。
図案は作者ご自身が描いたボタニカル・アートで、ものすごく細密な描写でした。
その細密さを出来るだけ忠実にレリーフ化して、漆塗りで仕上げたのが本作品で、彫りも塗りもたいへん手間をかけた思い出があります。塗りは、黒干口塗り(:背景)、同じく艶消し(:文様の周辺部)、洗い朱黄口(きぐち)朱蒔き(しゅまき)(:柚子の実)、緑干口塗り(:葉と茎)の、三色塗り分け・研ぎ分けです。
この作品は、後日、画材屋さんに依頼して“額装仕立て”になさったと思います。
  
               【塗師:魁 (黒艶消し部分のみ:光)
  ◆屈輪文様の壁飾りです。
オリジナルは中国の古い彫漆器で、その文様をほぼ忠実に模刻した記憶があります。(ただし、オリジナルは屈輪を底丸刀で彫ってあるのに対し、本作は薬研彫りで仕上げました。)
彫りも大変でしたが、塗りはひときわたいへんで、薬研部分に茶色の漆が垂れ込まないように、魁山さんと光堂がいろいろアイデアを絞った記憶があります。
塗りは、黒の艶消し漆の上に「赤中漆あかなかうるし(:黒蝋色漆+弁柄)」を塗って仕上げてあります。いろいろと想い出深い作品の一つです。 【塗師:魁】







 立田川文様の飾り皿  桜山鵲文様の飾り皿
◆立田川文様の飾り皿です。
オリジナルは、古典的な陶磁器の名品で、その文様をできるだけ忠実にレリーフ化しました。
渦巻きや波頭など、生徒さんにとっては水の彫刻描写がとくに難物で、表現するのに苦労してみえましたが、たいへん立派な出来栄えになったと思います。
塗りは、黒干口塗り本朱干口塗り洗い朱黄口干口塗り、の三色塗り分けとなっています。【塗師:魁】


  ◆桜と鵲(かささぎ)文様の飾り皿です。
オリジナルは『桜山鵲(さんじゃく)蒔絵硯箱』(重文、個人蔵)。桜の花弁の所々に螺鈿があしらわれた、蒔絵の古典的な名品です。
生徒さんのご希望で、多色の塗り分けにする方針が決まっていたので、彫りは3ミリ弱のあっさりした深さで仕上げ、黒干口塗りうるみ干口塗り黄口干口塗り本朱干口塗り梨地(金)梨地(銀)塗り分け研ぎ分けをして完成しました。
                          【塗師:光】





    立ち美人文様の壁飾り    



 バンビとトンスケの姫鏡
◆立美人文様の壁飾り(長辺:約45cm)です。
絵の作者は江戸時代の浮世絵師、懐月堂安度。
着衣の豪快なアウトラインと繊細な人物描写を描き分ける美人画の鬼才です。
この作品は、花魁(おいらん)が重ね着した複雑な着衣を彫り分けて、整合性を持たせるのが一苦労でした。
塗りも多色塗り分けの超難物で、そのほとんどが櫻井魁山さんのご労作です。
生徒さんのご希望で、お顔と足だけを光堂が塗りましたが、魁山さんが塗った襦袢の色よりも白い発色を、顔と白眼の部分で出すのが一苦労でした。
忘れられない作品の一つです。【塗師:魁+光】



   ◆バンビとTHUMPER(和名:トンスケ)の姫鏡です。
バックナンバーのページその4でご紹介した“チップとデールの壁飾り”のあとで、同じ生徒さんが追加制作したものです。
この時も、ディズニーの絵がレリーフ化しやすいのに驚いた記憶がありますが、それは決して“技術的に簡単に彫れる”というわけではなく、顔の表情などを生き生きと細工するのは、かなり大変だったと記憶しています。“眼鼻”のあるモチーフを彫るのは、やはり難しいものです。。。
この作品も、娘さんご指定の配色を再現すべく、艶消し色分け塗りを多用した仕上がりになっています。
このての塗りは衝撃や摩耗に弱いので、ハンドバックに入れて持ち歩くのには不向きだと思いますが、“観賞用として室内に飾りたい”とのお申し出だったので、試しにトライしてみました。
蝶々の発色がイマイチだったのが今でも少し心残りです。
                        【塗師:光】





◆以上で今回の作品紹介を終わりたいと思いますが、
 今回の更新もかれこれ4か月ぶりになってしまい、
 思うように更新できませんでしたことを、
 この場をお借りしてちょっとお詫びしたいと思います。。。

 このところ何かとスケジュールに追われまくっており、
 (出来るだけ頑張るつもりではおりますが)、
 来年の春くらいまで、しばらく忙しくなりそうなので、
 当展示室の更新がはかどらなくても、どうかご海容くださいませ。

◆当展示室の次回の更新は、いちおう年明け2月中旬〜3月上旬を予定しております。
 (出来れば“元旦更新”したいですが・・・ちょっと無理かもしれません・・・)

 これに懲りませず、今後ともご高覧のほど、どうぞよろしくお願い致します。m(_ _)m

                                       (2012.11.4記)
   
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